古印体とは

読みやすい書体

古印体は、元々奈良時代の寺社で使用されていた印鑑の書体です。当時の印鑑は現在のように精密な文字を作成することができなかったため、線が均一でなく、波打った太さの字体になっています。これをアレンジして線が太めで丸みのある字体にしたのが現在の古印体です。

読みやすいが複製しにくい

日本独自の書体であること、丸みがあって優雅な雰囲気がありながら、線の太さが均一ではないため複製が難しいことなどから、実印や銀行印として好んで使用する人が多い書体です。しかし、可読性も持ち合わせているために認印としても使うこともでき、汎用性の高い書体といえます。

余白部分が少ない仕上がりになりますので印鑑に衝撃があったときでも欠けにくく、枠に接触している部分もありますので、枠の強度がやや強くなります。枠は最も印鑑の中で破損しやすい部分なのでこれは一つのメリットになります。また、太目の線で文字が構成されていますので押印するときにも綺麗に印影が出やすい書体です。

一方で、彫り方によっては隙間に埃などが詰まりやすい書体でもありますので、印鑑を使用するときにはこまめに汚れを取り除くようにしましょう。使用する印材は、ある程度強度や粘りのあるものが良いでしょう。全体的に太目の線ですので押印したときに読みやすくはありますが、古印体独特の優美なフォルムを綺麗に再現するためには、朱肉のつきが良く、押したときに紙に馴染むような素材のほうがより鮮明になります。

大場
大場

実際に印鑑に名前を彫るときには余白部分が少ないため精密な作業になりやすく、ヒビが多く入っている印材や、耐久性に問題のある印材では綺麗に作れないおそれがあります。従来から使われている象牙や水牛、柘植などであれば手彫りでも機械彫りでも問題はありませんし、チタンのような機械彫りしかできない印材でも古印体で製作することはできます。

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