割印とは

書類の同一性を証明する印鑑

通常、印鑑はひとつの書類に署名などの意味で捺すものですが、割印や契印といった印鑑はすこし違った使い方をします。 これらは、二つ以上の独立した文書の関連性を示すために、書類にまたがって捺される印鑑です。複数ページの書類(公正証書や契約書類など)を作成するとき、文書の一部を差し替えられてしまうことを防止する意味があります。

割り印は、同じ文面の文章を二つ以上作成した場合に、独立したそれぞれの文書の同一性・関連性を示すために両文書(例えば、正本と副本)にわたって印鑑を半分ずつ押す印鑑です。

割印は連続した書類のページにまたがって捺すだけではなく、複数の書類の関連を示すために、それらにまたがって捺すこともあります。この例としては領収書のつづりと領収書にまたがって捺す場合、証明書と証明書の発行台帳(卒業生台帳と卒業証書など)などがあります。また、馴染み深い例としては切手や収入印紙とその土台となる紙とにまたがるように捺し、印紙や切手を剥がして使用されないようにするという例もあります。

なお、押印する代わりに、書類を綴じた上で専用の機械で穴を開け、穴の配列で字を読ませるタイプの契印もあります。これは「印」と名が付いてはいますが、いわゆる判子のような「捺す」ものではありません。この方式だと、量が多くても一回のパンチングで作業を終了させることができるという利点があります。パンチングの機械は大型で高価なので、日常的に大量の書類を処理する職場などで用いられます。

例えば、法務局で発行される登記簿謄本にはパンチングで「法」という文字が作られており、裁判所が発行する判決などの債務名義では、「裁」の字が読めます。そして、市役所などの自治体が発行する戸籍や住民票でも、綴じられた部分に穴が開いており、一度ホチキスをはずしてしまうと、綺麗に綴じなおすことができないように工夫されています。これによって、書類の途中を一部の人に有利な内容に差し替えるといったリスクを回避することができ、その書類の信頼性が向上するのです。

割印の作り方

大場
大場

割印はどのように作ればよいのでしょう。ここでは印材、サイズ、刻印内容、書体、そして実印として使うために大切な印鑑登録について説明させていただきます。

印材

割印に使う印鑑の種類にとくに決まりはないのですが、書類にまたがって捺しやすい専用の長細い印面の特殊な印鑑が使われることが多いです。このタイプの印鑑はあまりバリエーションは多くなく選択肢も多くないのが普通ですが、一般的なはんこ屋さんでは木材系、黒水牛などが用意されていることが多いようです。予算、お好みに合わせて選べば問題はないでしょう。

印面サイズ

サイズの選択肢もそれほど多くはないのが普通ですが、機能的にはどれでも問題ありません。が、刻印する内容によっては窮屈になるため文字数で選ぶのもいいでしょう。以下は作成の際のサイズと文字数の一例ですのでご参考までに(あくまで一例で、お店によって違います)。

サイズイメージ
(◯…おすすめ ◎…とてもおすすめ)
最大彫刻文字数について

注意点について

遺産分割協議証明書や売買契約書など、契約に複数の法人や個人が関係しておりそれぞれの押印が必要な場合には、各ページに全員の印鑑を押す必要があります。また、使用するのは書類の署名押印に使用した印鑑となります。

こういった書類に使用するのはほとんどが実印などで、ある程度大きさのある印鑑であり通常の割り印としての使用では問題がありません。しかしページ数が多く厚みのある書類の場合、両ページに綺麗にまたがって押印できないこともあります。

このような場合は折り目をずらしたりして、きちんと印影が続いていることが分かるように押しましょう。印影が続いていないと同一名の証明になりません。また、印影が綺麗につかずに失敗した場合には、その印影に同じ印鑑を重ねて取り消した上で、別の場所に再度割り印を押します。

割印は、他の印影と重ならないように押す必要がありますので、複数の人が押印する必要がある書類などでは、場所にも気をつけて押印するようにしましょう!

割印と契印の違いは?

割印は二つ以上の独立した文書の関連性を示すために押す印です。これに対し、契印は複数枚の文書が一つの文書であることを示すために押す印です。割り印は文書に捺印する際に使用した印鑑と同じ物を使う必要はありませんが、契印は文書に署名した際に捺印した印鑑と同一の物を捺印しなければなりませんので、基本的に代表印(実印)を使用するという違いがあります。