「誰が発起人になるか」
発起人とは、株式会社の設立を企画して、定款に記名・捺印した者のことを言います。
簡単に言うと、会社設立の手続きを進め、株式の引き受けをする(出資する)人です。
発起人は必ず1株以上の株式を引き受けなければなりません。
発起人に特別な資格は必要ありませんが、印鑑証明書が必要になりますので、印鑑証明書が作れない15歳未満の人は、実質的に発起人になることができません。
発起人は会社設立後は株主となります。株式会社の最高意思決定機関は株主総会ですので、代表取締役になる予定の発起人が株式の50%超を取得するなど、後々の経営のことを考えて、出資比率を決めます。
なお、発起人でなくても取締役等の役員になることはできます。
また、発起人だからといって、会社の役員にならなければいけないということでもありません。
「資本金は一円から」
現在、最低資本金制度が廃止され、最低1円の資本金から株式会社の設立ができるようになりました。
ただし、現実には資本金1円ですと融資が受けられなかったり、取引先の信用が得られなかったりと難しい面があります。
一般的には300万円から500万円くらいが多いようです。
資本金は、あとから増資もできますが。これもやはり費用がかかるので、設立の際にある程度の金額を確保しておくのが望ましいでしょう。融資の心配がある場合は、政府政策金融公庫など、融資を申し込む予定の窓口にあらかじめ問い合わせをしておくと安心ですね。
現金以外にも、株式や債券、車やPCなどの動産、または事務所用地などの不動産を現物出資として出資することもできます。
その場合、会社設立後に所有権を会社に移転することが必要です。所有権の移転や、実際に資本金として計上されただけの価値があるのかといった調査義務は代表取締役にあります。
なお、500万円を超える現物出資は、弁護士など専門家の調査書を添付する必要があります。
「設立時発行株式数と価格を決めよう」
設立時発行株式とは、会社設立のときに発行する株式数のことです。
設立時発行株式全ての引き受けがされないと、会社の設立ができません。
将来的に1000株発行したいが、資本金は300万円を予定している場合、設立時発行株式の価格を1万円として、300株の引き受けが必要になります。
残りの700株については、会社設立後に株主を募ってもいいですし、改めて取締役などが引き受けてもいいです。
「設立時発行株式の価格と発行可能株式数」
株式の価格は自由に決められます。1万円でも5万円でも、10万円でもかまいません。
計算が簡単なので、1株1万円に設定することが多いようです。
発行可能株式数とは、将来的発行を予定している株式に、設立時発行株式数を足した合計の株式です。
株式譲渡制限株式会社の場合は、発行可能株式数に制限はありませんが、公開会社(1株でも譲渡制限をつけない株式を発行する会社)は、設立時発行株式数の4倍までという制限があります。
例)設立時発行株式数が1,000株の場合、発行可能株式数4000株まで可能です。
「発起設立で会社を作る」
設立の方法を選びます。
発起設立か募集設立の2つありますが一般的には発起設立です。
「発起設立」
ほとんどの会社が発起設立です。
発起設立というのは、発起人が全ての株式を引き受けて会社を設立する方法です。
例えば、発起人3人、設立時発行株式が300株だったら、3人で300株全部を引き受けます。均等に100株ずつでも、一人が150株、残りが75株ずつでも、分け方は自由ですが、株主総会での議決権を考慮して代表取締役になる予定の発起人が過半数を引き受けることが多いです。
「募集設立」
発起人と発起人以外の株式引受人が株式を引き受けて会社を設立する方法です。
発起人も必ず1株以上の株式を引き受ける必要があります。
何人の人が株式を引き受けるかは自由ですが、全員が株式の引き受けをして払い込みをしてくれないと、会社設立ができません。また、発起設立の場合は不要な、銀行の「保管証明書」が必要になるなど、手続きが煩雑で時間がかかるため、あまり行われません。
大規模な会社で、大きな資金が必要な時に適している設立方法です。
「手軽にできる発起設立がお勧め」
このように、募集設立は広く資金を集められるメリットがある半面、会社設立までに時間がかかり、事務も煩雑であることから、一般には発起設立がお勧めです。
発起設立なら、発起人同士の意思決定で手続きが進められるため、大体1~2週間程度で設立が可能です。
「本店所在地を決めよう」
会社の本店を置く場所を決めます。
登記申請の際に不動産賃貸契約書や不動産の権利書を提出する必要はありません。
現時点でまだ不動産賃貸借契約が終わっていなくても、登記申請をすることができます。
ただし、その後登記申請した場所の不動産が借りられなくなった場合は、本店所在地の変更登記が必要になり、余計な費用がかかりますので、注意しましょう。
定款には、最少行政区(東京都豊島区、埼玉県大宮市浦和区、神奈川県厚木市など)までの記載で足ります。
その場合、別書類で丁町目号まで記載した「本店所在地決定書」が必要になります。
定款に丁町目号まで記載すれば、「本店所在地決定書」は不要になりますが、間違いや登記申請までに本店住所の変更があった場合は、定款の認証からやり直さなくてはならないので、最少行政区までの記載をお勧めします。
ちなみに、マンション名、部屋番号は書きません。