「実印や銀行印を作りたいけれど、書体は何を選べばいいの?」という方へ。印鑑の書体の中でも、とりわけ実印と銀行印で高い人気を誇るのが篆書体(てんしょたい)です。歴史ある落ち着いた雰囲気と、複製されにくい独特の形による安心感が魅力。ここでは、篆書体の特徴から、実印・銀行印と相性がよい理由、印材の選び方、メンテナンスまで、初めての方にもわかりやすく丁寧にご紹介します。
実印・銀行印で篆書体が定番の理由

篆書体は、古来より印章文化に密接に関わってきた書体です。日本最古の印鑑といわれる漢委奴国王の金印にも篆書の系統が使われていることが広く知られており、現代では日本銀行が発行する紙幣のデザインにも篆書が採用されています。つまり、格式と歴史的な信頼性を感じさせる書体なのです。
この重厚感と伝統性は、実印や銀行印の用途にぴったり。たとえば、実印は役所の登録に基づく本人確認の要であり、銀行印は金融機関や口座の重要な場面で使われます。どちらも「公的で大切な手続き」に関わるため、落ち着いた印象と誤解されにくい存在感を持つ篆書体は、多くの方に選ばれています。
認印(いわゆる日常のサイン代わり)では、誰が押したかがすぐわかることが優先されるため、楷書系など読み取りやすい書体が好まれる傾向があります。そのため、篆書体が認印として選ばれるケースは多くありません。
一方、実印や銀行印は、日常よりも重大な場面で使われる印鑑。読まれやすさよりも、信頼性・重厚感・印影の唯一性が重視されるため、篆書体との相性が非常に良いと言えます。
用途によって「求める機能」が違う—これが、書体選びでまず押さえておきたい考え方です。
篆書体の形とセキュリティ上のメリット
篆書体の特徴は、崩しが入った独特の線のつながりと、複雑で重心の低い形にあります。やや抽象化された文字の形状は、一見して内容を読み取りにくいことがあり、不正な複製がしにくい点がメリットです。
とくに実印・銀行印では、印影の安全性が重要。一般的な楷書やゴシックに比べて、篆書体は印影から直感的に氏名を判読しづらいケースがあるため、第三者に悪用されにくいという安心感につながります。
「難しそう」と感じるかもしれませんが、印影としての美しさやまとまりが出やすい書体でもあります。見た目は古典的で凛とした雰囲気。男性・女性問わず使いやすい、上品で長く飽きない仕上がりになります。
篆書体の耐久性に関係するポイント
篆書体は文字の線が均一に近い太さで、角が少なく丸みを帯びた造形が基本です。また、文字が印面の外枠にしっかり接している部分が多いため、落下などで外枠に力がかかった際にも欠けが生じにくい傾向があります。
この構造的な特徴は、結果として印面の強度と一体感を高め、長期使用に向いた印影を作る助けになります。
さらに、篆書体は線が太めに設計されることが多いため、朱肉のノリや発色が安定しやすいのもポイント。押印時にムラが出にくく、くっきりとした印影になりやすいので、重要書類に向いた見栄えが得られます。
篆書体と印材の相性
実印や銀行印は、長く使うことを前提にするため印材選びも慎重になりたいものです。篆書体と相性が良いものを挙げてみましょう。
- 柘(つげ):古くから印材として親しまれている木材。適度な硬さと粘りがあり、篆書体の線をきれいに表現しやすい素材です。朱肉のつきも良好で、日常から公的手続きまで幅広く対応します。
- 水牛・黒水牛(牛角):緻密で丈夫なため、実印や銀行印でも人気の高い素材。落ち着いた色味と艶があり、篆書体の重厚感を引き立てます。
- チタン:非常に硬質で耐久性に優れ、長期にわたって使用する方に選ばれることが多い素材。篆書体は線が太めで角が少ないため、硬質材でも押印時に印影がつぶれにくく、くっきり仕上がるのが魅力です。
どの印材でも篆書体の持つ均整美が映えるため、最終的には好みと使う場面で選ぶのがおすすめ。日常的な書類にも押す機会があるなら柘や水牛、一生ものの一本として耐久性を重視するならチタン、という選び方も良いでしょう。
サイズとレイアウト—読みやすさよりも「らしさ」が大切?
実印・銀行印では、サイズ選びが意外に大切です。一般的には
- 実印:15mm〜18mmの範囲がよく選ばれる
-
銀行印:13.5mm〜16.5mmが人気
と言われることが多く、フルネームか姓のみかでも適正は変わります。文字数が多ければ少し大きめ、姓のみであればスッキリとした見栄えのサイズでもOKです。
篆書体は印面いっぱいに文字が組まれるため、レイアウトのバランスが印影の印象を左右します。外枠と文字の詰め具合、線の太さのバランス、文字の重心の置き方などで、「きりっとした雰囲気」「柔らかな雰囲気」など細かな調整ができます。
読みやすさを最優先にする書体ではありませんが、篆書体らしい美しいまとまりを大事にすることで、公的な場にふさわしい一体感が生まれます。実印や銀行印に単なる自己証明以上の意味を持たせたいならば、このようなことも考えてもよいかもしれません。
よくある質問
Q1:初めての実印、篆書体で文字が読みにくくない?
A:篆書体は印影としての「唯一性」を重視する書体です。日常文の読みやすさより、公的場面での格と安全性を大切にする実印・銀行印に向いています。氏名の読み取りやすさよりも、印影の信頼感を取るなら篆書体が有力候補です。
Q2:銀行印を篆書体にすると、窓口で困りませんか?
A:金融機関は印影の登録に基づいて照合します。篆書体は銀行印として一般的に用いられており、落ち着いた印象と複製されにくさが評価されています。
Q3:手仕事とその他の加工、どちらが良いの?
A:加工方法の優劣は一概に決められません。篆書体は設計のバランスと印材との相性が肝心です。仕上がりの雰囲気や納期、予算、印影のプレビューで納得感を重視しましょう。
篆書体の印鑑を試してみる—印影プレビューのすすめ
「自分の名前だと、篆書体でどんな見た目になるの?」という不安は、印影プレビューを使えばすぐに解消できます。
印鑑の匠では、篆書体を含む各種書体で、入力した氏名の印影を無料でプレビューでき、実印・銀行印の仕上がりイメージを事前にチェック可能です。
プレビューで「これだ!」という印影が見つかったら、そのままサイズや印材を選んで注文まで進められます。納期や細かな仕様もサイト上で確認できるため、はじめての方でも手順がわかりやすいのが嬉しいポイントです。
まとめ
- 篆書体は歴史があり、格式の高い印象を与える書体。実印・銀行印に向く理由がはっきりしています。
- 複雑で角が少ない形状は、複製されにくく、印面の強度にも寄与。朱肉のノリも安定しやすく、くっきりした印影になりやすいのが魅力です。
- 印材は柘・水牛・チタンなどが相性良好。用途と好みで選び、サイズは印影のバランスを見ながら決めるのがおすすめ。
- メンテナンスは使用後のひと拭きと保管環境が基本。長く使える一本になります。
- まずは印影プレビューで、篆書体の印影を自分の名前で試してみましょう。
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飽きのこない書体ですので、作ってもらう時にはできればレイアウトなどを見せてもらい、いつまでも大切に使うことのできるような印鑑を作りましょう!上記のリンクでは篆書体ほか各種の書体の印影プレビューを無料で作ることができます。まずお試しになってみてはいかがでしょうか。




