印鑑証明に使う印鑑は何でもいいの? 

土地を売買したり、自動車を購入したり、会社を設立したり……。こういった重要な手続きに必要なのが印鑑証明書(印鑑登録証明書)です。 

 この印鑑証明書を発行するには、事前に印鑑登録をおこなわなくてはいけませんが、ここで登録する印鑑はどんなものでもいいのでしょうか?例えば100円ショップで売っている認印や、シヤチハタのようなスタンプでも登録できるのでしょうか? 

 そこでこの記事は、印鑑登録できる印鑑の条件について紹介します。印鑑証明書を発行する際に覚えておくと役立ちますので、ぜひご覧ください。 

役所がNOという材質もある? 

印鑑証明書を発行するには、事前に印鑑登録が必要です。個人が印鑑登録をおこなう場合は実印が、法人の場合は代表者印がそれぞれ要ります。 

 契約書などに捺した印鑑が自分本人のもので間違いないことを証明するため、国や自治体にあらかじめ印影を登録します。印鑑証明書(印鑑登録証明書)はその印鑑の持ち主を示しているため、最も信頼性が高い意思の証明となり、重要な契約時に使われます。 

それでは個人・法人が印鑑登録をする際、登録条件を満たした印鑑とは何か、解説します。

個人の印鑑登録の場合

個人の場合、登録できる印鑑の条件は地域によって異なります。国の法律ではなく地方自治体の条例に基づいているからです。例えば同じ内容の印鑑でも、「A市では登録できてB市では登録できない」ということもあります。 

 個人の印鑑登録は各市区町村でおこないます。一般的に登録できる印鑑は次のとおりです。 

登録できる印鑑の材質 

ゴム印やイモ判など変形しやすい素材でないもの 

大量生産された既製の認印(三文判)でないもの 

 大量生産された既製の認印は同型印(同じ型で彫刻した印鑑のこと)が存在する可能性があるため、実印に不向きとされています。 

 またプラスチック製印鑑の場合、自治体によって登録の可否が分かれます。印鑑登録用にプラスチック製の印鑑を購入する時は、事前にお住まいの自治体を訪ねて確認しておくと安心です。 

登録できる印影のサイズ 

 ほとんどの自治体が「一辺が8㎜以上で25㎜以内の正方形に収まるもの」としています。 

 このサイズは印影の識別可能性などを勘案して決められたものですが、神戸市(6㎜~25㎜)や名古屋市(7㎜~25㎜)など、小さい印影も登録可能とする自治体もあります。 

登録できる印鑑の丈

 印鑑の丈(印鑑を立たせた時の縦方向の長さ)については「特に規定はない」とする自治体が多いです。ただし、中には「3㎝以下や1㎝未満の印鑑は不可」としているところも。「印鑑が短すぎると捺しにくく、印影が歪むことがあるから」というのが理由のようです。 

現在、お店で販売されている一般的な印鑑の丈は60㎜なので登録に引っかかる心配は少ないですが、念のため、最寄りの自治体に確認しておきましょう。 

 また、登録印は戸籍上の氏名、苗字、名前のいずれかが完全に表示されたもの、苗字に名前の一部を付けたものや苗字と名前の頭文字同士を組み合わせたものと決められています。例えば「山田 太郎」さんなら、「山田 太」と登録することもできます。氏名をひらがなやカタカナに変えたものは登録できない市町村が多いので注意しましょう。 

法人の印鑑登録の場合

法人の場合、登録できる印鑑の条件は国の法律として統一されています。 

 法人の印鑑登録(代表者印)は、法務局に「印鑑届」を提出することで登録できます。基本的に会社設立の登記申請と同時におこないます。 

 印鑑届は、所定の届出書と添付書類などを法務局(会社の本店所在地の法務局、地方法務局など)へ窓口持参か郵送などで提出します。この手続きには、印鑑届書のほか、代表者(会社設立登記を申請する人)の実印(個人の実印)、代表者の印鑑証明書(市役所が発行する個人の印鑑証明書)などが必要です。代表取締役が複数いる場合は、その中から一人、会社設立登記の申請人を選びます。 

法人の場合、代表者印を実印として登録します。代表者印の多くは円形の印面で、内側の中心部分に「代表取締役之印」などの文字が、外側には会社名などが外周に沿って入るのが一般的です。 

 登録印のサイズの条件は「辺の長さが1㎝の正方形に収まるもの、または辺の長さが3㎝の正方形に収まらないものであってはならない」(商業登記規則第9条)としています。 

 また「印鑑は照合に適するものでなければならない」と規定されており、印面が変形する恐れがあるゴム印や浸透印などは登録不可となります。代表者印の材質は、一般的に黒水牛や象牙、金属などが多いです。 

印鑑証明書を受けるには、「印鑑カード」の発行手続きも必要です。これは会社などの代表者印の印鑑証明書を交付申請する際、本人の同一性を確認するためのもの。申請書に、商号(会社名)や印鑑提出者(代表者)などを記入し、「登記所に提出した印鑑」の欄に押印して提出すれば交付されます。 

印鑑登録の条件は個人と法人によって違う 

ここまで、印鑑登録できる印鑑の条件について紹介しました。 

 印鑑登録は個人用と法人用によって、それぞれ登録できる条件が異なります。個人用の場合は市町村ごとに規定の内容が違うので、登録の際はお近くの自治体に問い合わせましょう。法人用の場合は、国の法律としてルールが統一されています。 

 いずれにしても、登録用の印鑑を新しく作る場合は、サイズや材質などを事前に確認しておくことが大切です。