シャチハタと印鑑の違いとは?実印として使える?

「この書類、シャチハタで押してもいい?」。

印鑑が必要な場面で、こんな言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。

この「シャチハタ」は「印鑑」と一体何が違うのかご存じでしょうか? サイズの大小? それとも材質? ……シャチハタと聞くと「簡単に誰でも使える」というイメージがありますが、具体的にどういったものなのか、答えられる方は少ないかもしれません。

そこでこの記事は、シャチハタと印鑑の違いについて紹介します。「シャチハタは実印や銀行印として使える?」といった疑問にも答えているので、最後までご覧ください。

シャチハタと印鑑の違いとは?実印として使える?

「この書類、シャチハタで押してもいい?」。

印鑑が必要な場面で、こんな言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。

この「シャチハタ」は「印鑑」と一体何が違うのかご存じでしょうか? サイズの大小? それとも材質? ……シャチハタと聞くと「簡単に誰でも使える」というイメージがありますが、具体的にどういったものなのか、答えられる方は少ないかもしれません。

そこでこの記事は、シャチハタと印鑑の違いについて紹介します。「シャチハタは実印や銀行印として使える?」といった疑問にも答えているので、最後までご覧ください。

シャチハタはスタンプの名前ではない

シャチハタと印鑑の違いを述べる前に、まず「シャチハタ」の名前について説明しなくてはいけません。「シャチハタ=簡単に誰でも使えるスタンプ」と認識している方が多いと思いますが、これはスタンプの名前ではなく、名古屋にある「シヤチハタ株式会社」という社名です。※「シヤチハタ株式会社」の「ヤ」は大文字で表記。

同社は1965年、本体にインクを貯留する構造を持った、スタンプ「Xスタンパー」を発売しました。Xスタンパーには様々なラインナップがありますが、もっとも一般的に知られているのが個人の名前が入った丸型のスタンプです。

このようなインクが内蔵されたスタンプのことを、ハンコ業界では「浸透印」と呼んでいます。しかし知名度の高さから、世間では「浸透印=シャチハタ」という呼び名が定着するようになりました。なお、他のメーカーでも浸透印は発売されていますが、それらの浸透印をひっくるめて「シャチハタ」の呼び名が根付いています。

シャチハタは実印の代わりになる?

それでは、シャチハタを「インク内蔵型のスタンプ」と定義したとき、「印鑑」とどのような違いがあるのでしょうか。

まず、一般的にシャチハタと呼ばれるスタンプは大量生産によって作られています。一定の品質でスタンプを量産するということは、「佐藤」「鈴木」など同じ印面(名前が彫ってある部分)のスタンプが存在するということです。

こうした既製のスタンプは世の中に多く出回っているため、重要な書類に押すと偽造されるリスクが高まります。

重要な書類に押すツールと言えば「実印」があります。土地の売買や自動車の購入など重要な契約時に使われますが、量産品のシャチハタは同じ名前のスタンプが存在するので、実印としては不向き。「信頼性が高い意思の証明」としての効力がありません。

だから、実印の代わりにシャチハタを契約書に押しても無効となります。「契約書に押した印が自分本人のもので間違いない」ということを証明できないからです。

そもそも実印を使うには、国や自治体にあらかじめ印影を登録する「印鑑登録」の申請が必要です。

個人が印鑑登録する場合、登録できる印は自治体が定める印鑑条例に基づき規定されています。自治体によって規定の違いはありますが、

・大量生産された既製の認印(三文判、浸透印)

・ゴム印など印面が柔軟なもので、押し方によって印影に相違が生ずるもの

……こうした印は「登録できない」とする自治体が大半です。「シャチハタを実印にしたい」と役所を訪ねても印鑑登録を受け付けてくれないので、手続きの際は気を付けましょう。

またシャチハタは、銀行印としても適していません。先ほど述べたように、既製のスタンプは量産品で誰でも簡単に買えてしまうので、自分になりすまして悪用される恐れがあります。実印や銀行印としての使用は避けましょう。

シャチハタの用途は回覧板に押す認印や、宅配物の受け取りの確認に用いる訂正印として使うのに適しています。シャチハタはインクが内蔵されているので「スタンプ台が要らなくても押せる」「連続捺印できる」のが大きなメリットですね。

印鑑は実印や銀行印に使える

一方、「印鑑」はシャチハタと何が違うのでしょうか?

印鑑は木や動物の角、石、金属などの素材から作られています。印面がゴムではないので、押し方の強さで印影の形は変わりません。

また、ハンコ屋さんが名前を彫るので、お店によって印面の仕上がりが違います。書体が同じでも線の太さなどが異なり、大量生産されたシャチハタのように同じ印面が存在しません。こういった理由から、印鑑は重要な契約時に用いる実印をはじめ、銀行印や認印などに使うことができます(既製品は除く)。

ちなみに「印鑑」の名称ですが、実は「ハンコ」のことではありません。本来は物体としてのハンコではなく、実印など登録したハンコの「印影」を指します。しかし、印鑑証明や印鑑登録などから生まれた通用語として、世の中では「印鑑=ハンコ」として認識されています。

シャチハタと印鑑は似ているけど違う

ここまでシャチハタと印鑑の違いについて紹介しました。

まとめると、

・「シャチハタ」は……

インク内蔵式のスタンプで、大量生産によって作られているため、実印や銀行印としては使用できない。宅配物の受け取りの確認用や、回覧板に押す認印、訂正印の代わりとして使うのに適している。

・「印鑑」は……

木や動物の角、石、金属などの素材から作られている。ハンコ屋さんが名前を彫るので、お店によって印面の仕上がりが違う。重要な契約に用いる実印や、銀行印、認印などに使用できる(既製品は除く)。

シャチハタや印鑑が新たに必要になったときは、まず「どんな目的で使うのか」を考えましょう。ここをはっきりしておけば、購入のときに迷わなくなりますよ。