契約の手続きに欠かせない印鑑は、自分の分身のような存在です。そのため、いざというときに使えるよう、しっかり保管しておきたいですよね。
でも、具体的にどのように保管すればいいのでしょうか?
そこでこの記事は、最低限やっておきたい印鑑の保管方法について紹介します。記事の後半では印鑑のお手入れ方法も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
保管方法は印鑑によって違う
印鑑の中でも、特に慎重に取り扱いたいのが実印と銀行印です。実印とは住民登録のある市町村役場に登録した印鑑のことで、土地の売買や自動車の購入といった手続きに必要です。銀行印は、銀行など金融機関に届出をしている印鑑で、用途は銀行預金や郵便貯金など。
実印も銀行印も、保管の際は金庫に入れておくか、自分しか分からない場所に隠しておきます。金庫は自宅にあるものか金融機関の貸金庫を利用します。貸金庫は利用料金がかかりますが、自宅に保管するよりもセキュリティ面で安全といえるでしょう。
保管場所については、たとえ身内でもむやみに口外しないこと。「印鑑証明書が知らないうちに発行された」「銀行預金が引き出された」というトラブルは、意外に身内の犯行が多いからです。
実印と銀行印を保管する際は、それぞれ下記のポイントを押さえておきましょう。
実印を保管する際のポイント
実印は、登録すると自治体がその持ち主を示す証明書(印鑑登録証明書)を発行できます。
重要な契約を交わすとき、実印と印鑑登録証明書の2つが必要ですが、保管の際は一緒にするのではなく、分けて保管するようにしましょう。
また「印鑑登録カード」(または「印鑑登録証」)の管理にも注意が必要です。このカードは市区町村で印鑑登録をおこなうともらえるもので、表面には登録番号が記載されています。
印鑑登録証明書の発行に必要なカードですが、保管の際は、住所や氏名などの個人情報が入ったもの(運転免許証や健康保険証など)とは分けるようにしましょう。カードと個人情報さえあれば、誰でも印鑑登録証明書が発行できます。盗まれて悪用されないよう、個別に保管しておくことが大切です。
銀行印を保管する際のポイント
預金を引き出すときに必要な銀行印。通帳と一緒に保管しがちですが、これはとても危険です。盗難に遭って、知らない誰かに預貯金をすべて引き出されてしまう、ということも起こり得ます。必ず通帳と銀行印は別の場所に保管するようにしましょう。
印鑑の保管の仕方は?
せっかく悪用されないように保管しておいたのに、いざ使うときに印鑑が劣化していた……では台無しですよね。
そこで、印鑑の最適な保管の仕方について紹介します。
印鑑の素材は、黒水牛(牛の角の部分)、ツゲ(木製)などが定番ですが、こうした動物系、植物系の天然素材は環境の変化によって反りやひずみ、割れなどを起こすこともあります。裸のままにしておくと寿命を縮めかねないのです。
一番のおすすめは印鑑ケースに入れて保管すること。印鑑が傷ついたり、転がって紛失するというトラブルを防ぐことができます。また印鑑ケースは湿気や温度変化、埃、虫など、環境の変化や外敵から印鑑を守る役割もあります。
もし印鑑ケースだけでは心配という場合は、桐箱に入れて保管するのも効果的です。
桐箱は湿気が多くなると箱が膨張して、気密性を高め内部へ湿気が侵入するのを防ぎ、乾燥すると箱が収縮し、水分をrt放出するという特性があります。つまり日本の気候風土に適しているわけです。また、天然の防虫成分も有しているという点でも安心です。
桐箱は印鑑ケースに対応したものがあるので、ケースのサイズを測った上で最適な大きさのものを選ぶようにしましょう。
印鑑のお手入れ方法を紹介
保管することも大切ですが、実印などの一生ものの印鑑は、きちんとお手入れしておきたいものです。高級品を買っても、保存状態が悪いとひび割れてしまうこともあるのです。
長持ちさせるポイントは、印鑑を使用したら印面をよく拭きとること。朱肉の油を吸いすぎるのはNGです。朱肉が印面の溝に入りこんで取れない場合は、印面が傷つかないように毛先の柔らかい歯ブラシで掃除しましょう。
保管は温度差の激しいところや極端な湿気、乾燥、直射日光のあるところを避けます。特に自然素材の黒水牛、柘などは温度の変化により、ひび割れの危険性があります。角の素材は虫に食われることもあるので、低温で埃の少ない場所に保管します。
また、印鑑の縮みを防ぐため、年に1度、椿油で油分補給するのも効果的です。ただしツゲには塗らないようにしましょう。
印鑑は金庫で保管すると安全
ここまで印鑑の保管方法について紹介しました。
契約など重要な場面で活躍する印鑑。中でも実印や銀行印は使用する機会は多くありませんが、いざという時にトラブルなく使えるよう、保管場所を決めて保管するようにしましょう。金庫や金融機関の貸金庫を利用するのがベストです。
また、印鑑を使い終わったら印面についた朱肉を拭き取り、印鑑ケースに入れて保管しておきましょう。これだけでも印鑑の劣化を防ぐことができますよ。ぜひお試しください。