委任状に印鑑は必要?

住民票の請求や自動車の名義変更など、世の中にはさまざまな手続きがあります。
しかし、「病気や怪我をしてしまった」「スケジュールの都合が合わない」などの理由で、本人では手続きができないケースもありますよね。

そこで役立つのが「委任状」です。これは本人に代わって、第三者に何らかの手続きを依頼するとき、その意思表明を書面に書き記した文書のことです。

委任状には、代理人の氏名や住所などの記載が求められますが、印鑑も必要なのでしょうか?
結論から先に言うと、印鑑の要不要は手続きの仕方や種類によって変わります。

そこでこの記事は、委任状に印鑑が必要な手続きや、それらに使う印鑑の種類、押し方について紹介します。

委任状に印鑑が必要か不要かはケースバイケース

第三者の代理人が手続きをする際、委任状が必要なケースはさまざまです。
一例として、次の場合は代理人の委任状が必要になります。

・住民票を代理人が請求する
・車の名義変更を代理人がおこなう
・郵便物を代理人が受け取る
・不動産を代理人が売却する
・銀行口座を代理人が開設する

こうした委任状には決まった書式がなく、必要な事項が記載されていれば問題ありません。
※提出先によっては所定の書式を使用することがあるため、事前に確認しておくと安心です。

必要事項とは、委任状を作成した日付や代理人住所と氏名、手続きの内容、委任者(申請する本人)の住所、氏名など。このとき、記載方法が「署名」だと印鑑は不要、「記名」だと印鑑が必要になります。

「署名」とは手書きで自分の氏名を記す行為のことで、自署やサインと同じ意味合いがあります。筆跡鑑定が可能で、「ある物事について本人が同意した」という意思表示として用いられます。
署名は真正性が高いため、印鑑での捺印(押印)が無くても委任状として有効に働きます。

対して、「記名」とは手書き以外の方法で自分の氏名を記載することです。例えば、あらかじめパソコンやワープロで氏名を入力して文書を印刷したものや、ゴム印で押したものなどは記名にあたります。他にも、自分の夫や妻(配偶者)、秘書や部下が自分の代わりに代筆したもの、氏名を記載したものも記名扱いとなります。

記名は真正性が低いため、捺印(押印)がなければ署名の代用としての効力が認められません。

このように、委任状に「記名」する場合は、本人確認のための印鑑が必要というのが基本的な考え方です。

ただし近年は、行政での手続きを簡素化するため、書類での押印が不要となるケースが増えています。
茨城県石岡市では、「手続きの真正性の確保」及び「市民の権利保護」の観点に基づいて見直しをおこない、令和6年4月1日より委任状の押印を原則不要としました(委任者の本人確認書類の写しを確認)。委任状の統一的な運用方針を定めることで、市民の利便性向上や業務効率化を推進する狙いがあります。

とはいえ、全ての手続きで押印が不要になったわけではなく、内容や状況によっては従来どおり印鑑が必要なケースもあります。特に、本人確認が厳格に求められる手続きの場合は、印鑑(実印)が必要な可能性が高くなります。

いずれにしても、委任状で手続きをする際は、具体的に何が必要なのか事前に確認しておくと安心です。

委任状の印鑑にシャチハタを使ってもいい?

本人の意思確認が重要なものほど実印が求められる傾向があると、先ほど述べました。
逆に本人の意思確認が厳格でない委任状は認印で足りることもあります。このとき、認印ではなく「シャチハタ」タイプのものを使ってもいいのでしょうか。

シャチハタタイプとはインクが内蔵された認印サイズのスタンプのことで、「浸透印」とも呼ばれます。

こうしたスタンプは大量生産され、世の中に多く出回っているため、重要な書類に押すと偽造されるリスクが高まります。委任状は代理人に手続きを頼むときに必要とされる書類です。法的効力も発生するので、スタンプの使用は控えましょう

また、ゴム印も経年劣化により印面が変形しやすい材質のため、使わないのが無難です。一般的な薩摩本柘(さつまほんつげ)や黒水牛など、一般的な材質の印鑑で押すようにしましょう。

委任状に印鑑証明書を添付するときの有効期限の目安

委任状で重要な手続きをおこなうとき、必要になるのが実印や印鑑登録証明書(印鑑証明書)です。

例えば、不動産の所有権移転や抵当権設定などの登記手続き、商業登記、公正証書の作成、車の名義変更などを代理人がおこなうときは実印が必要です。

さらに、その実印が本人のものであるかを証明するために、印鑑証明書の添付も必要になります。

印鑑証明書があれば、委任状に押印された印影が、法的に登録された印鑑(実印)と一致することを確認でき、その委任が真正なものであると証明できます。

手続きを受け付ける側にとっては、本人の意思確認の裏付けとして極めて重要な書類になります。

ここで気を付けたいのが、できるだけ新しい日付の印鑑証明書を用意しておくこと
印鑑証明書には法律上の明確な有効期限は定められていませんが、手続きの内容によっては「発行から○ヶ月以内」など期限が決められていることもあるからです。例えば、金融機関や行政機関、登記申請の場合、発行日から3ヶ月以内や6ヶ月以内といった条件を求められることが多く見られます。

「過去に取得した印鑑証明書が手元にあるから、それを使おう」とするのではなく、委任状を提出するタイミングで最新の印鑑証明書を取得するのがベターです。これにより、手続き上のトラブルを未然に防ぐことができます。

委任状に印鑑を押す場所は?印影がかすれたらどうすればいい?

委任状には、決められた用紙や書式というものがありませんが、例として下記の項目を申請者本人が記載しなくてはなりません。一般的に横書きの書式が多く見られます。

・委任状の作成日
・委任内容
・委任者(申請者本人)の住所、氏名(生年月日)
・「私は上記の者を代理人と定め、次の権限を委任いたします。」という文章
・代理人の住所と氏名(生年月日)

記載項目は上記の内容だけでなく、手続きの種類によって異なります。例えば車の名義変更に関する委任状だと、移転登録の旨や自動車登録番号なども記載します。

委任状のフォーマットがあらかじめ用意されていることもあるので、提出先に確認しましょう。

委任状に印鑑を押す場合、フォーマットに「印」の欄が書いてあれば、そこに押します。フォーマットに押印欄がない場合、または委任状を自作する場合は、記載した氏名の右隣に押しましょう。

うまく押せずに印影がかすれてしまった…というときは、印影の上に二重線を引いて、その隣に再度押し直せば大丈夫です。文字が読み取れない程度のかすれや薄くなった場合、また印影の上下が逆になっている場合は、こうした訂正が必要です。
慌てて上から印鑑を押し直さないようにしてください。判読できず委任状が無効になる可能性があります。また、修正液や修正テープを使って訂正するのもやめましょう。

委任状に押す印鑑は内容によって使い分けよう

ここまで、委任状に印鑑が必要な手続きや、それらに使う印鑑の種類、押し方について紹介しました。

委任状に署名(手書きで自分の氏名を記す)する場合は印鑑不要、記名(パソコンなどで記載する)の場合は、本人が記載したことを示す印鑑を押す、というのが基本的な考え方です。

ただし近年は、行政での手続きを簡素化するため、書類での押印が不要となるケースが増えています。

また、商業登記や公正証書の作成、車の名義変更など重要な手続きの場合は、実印+印鑑証明書が必要になります。印鑑証明書は、できる限り日付の新しいものを取得するようにしましょう。

このように、委任状で手続きをする際は、具体的に何が必要なのか事前に確認しておくことが大切です。

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