英語の実印登録や法人登記はできるの?

外国人が日本で生活する上でも、印鑑は欠かせないアイテムです。中でも実印は信頼性が高く、「家を借りる」「車を買う」「会社を設立する」といった手続きに必要です。

手持ちの印鑑を実印として使うには登録しないといけませんが、英語での実印(印鑑)登録はできるのでしょうか? また法人名が英語の場合も実印登録は可能なのでしょうか?

そこでこの記事は、英語(アルファベット)における実印登録の方法について紹介します。

英語で実印登録はできる?

重要な契約や会社設立など、大切な役目を担う実印ですが、気をつけたいのが「実印用の印鑑を買っても実印の効力はない」ということ。登録を済ませることで、初めて実印として使用できるのです。

実印登録は、個人用と法人用によって、それぞれ登録できる条件が異なります。

では外国人が登録する場合、どのようなルールがあるのでしょうか。

次のような条件があります。

・居住する各市町村で手続きをおこなう。

・市区町村に住民登録している15歳以上。

・同一世帯で同じ印鑑は登録できない。

・登録できる印は1人1点。

※自治体によって印鑑条例の内容は異なります。

……など。日本人が登録するときと同じ条件ですね。

登録できる印面の文字にもルールがあり、『在留カードや特別永住者証明書に記載されている「アルファベット(英語)」または「漢字」の氏名』などと定められています。

また、住民票の「通称」欄に記載されているものなら、通称の全部や通称の姓・名、姓と名の一部を組み合わせたものでも可能です(自治体によって異なります)。

一例として東京都板橋区では、外国人住民が登録できる印鑑例を次のように紹介しています。

住民票に氏名「ITABASHI MARSHA RACHADA」、通称「板橋 マーシャ」、氏名のカタカナ表記「イタバシ マーシャ ラチャダ」としている場合、板橋区では次の7つの印鑑が登録できます。

(注:ITABASHIがラストネーム、MARSHAがファーストネーム、RACHADAがミドルネームとします)

1、「ITABASHI MARSHA RACHADA」氏名の印鑑 ※「板橋マーシャ」「イタバシ マーシャ」も可

2、「ITABASHI MARSHA」ミドルネームを省略した印鑑

3、「ITABASHI」氏のみの印鑑 ※「板橋」「イタバシ」も可

4、「MARSHA」名のみの印鑑 ※「マーシャ」も可

5、「ITABASHI RACHADA」氏とミドルネームの印鑑

6、「MARSHA RACHADA」名とミドルネームの印鑑

7、「I.M.R」イニシャルの印鑑 ※ミドルネームを除いたイニシャルも可

これは板橋区の例ですが、かなり自由度がありますね。

※自治体によっては、イニシャルやニックネーム、意訳された漢字、職業や資格、屋号、生年月日が入ったものなどは実印登録できない場合があります。

登録できる印影(紙に押した印鑑のこと)のサイズは、多くの自治体が「一辺が8㎜以上で25㎜以内の正方形に収まるもの」としています。中には「6㎜以上」「7㎜以上」とする自治体もあります。

ただし、印鑑の材質によっては登録できないものがあるので気を付けましょう。

〈登録できない印鑑の材質・例〉

・ゴム印など押したときに印面が変形しやすい素材

・大量生産された既製の認印(三文判)

・朱肉を使わないタイプの印

英語名の法人を実印登録するには?

近年は外国人の増加に伴い、英語名の会社も増えています。

会社設立の際、法人・代表者印の実印登録が必要ですが、法人名が英語(アルファベット)の時はどうすればいいのでしょうか?

以前は英語を法人名に用いることが禁止されていましたが、2002年に商業登記法の規則の一部が改正されたことで可能になりました。

現在は英字(大文字と小文字)の他、アラビヤ数字を登記に用いることができます。なお、英字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。

また、「&」や「,」(コンマ)などの符号は、字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限り、表記できます。

※「.」(ピリオド)は、省略を表すものとして商号の末尾に用いることも可能。

法人・代表者印を実印登録する場合、印鑑の文字が英字でも構いません。彫刻する文字については大きな決まりがないので、自由に表記できます。

ただし、法人用実印のサイズは「辺の長さが1㎝の正方形に収まるもの、または辺の長さが3㎝の正方形に収まらないものであってはならない」(商業登記規則第9条)としています。

登録する法人用実印の形状は円形の印面が一般的です。内側の中心部分に「代表取締役之印」などの文字が、外側には会社名などが外周に沿って入ります。従来の法人用実印と変わりませんね。

外国人が実印登録するときは意訳に注意

ここまで、英語(アルファベット)における実印登録の方法について紹介しました。

外国人が個人用に実印登録する場合、「在留カードや特別永住者証明書に記載されている氏名を用いた印鑑」となります。

自治体によっては、イニシャルやニックネーム、意訳された漢字(アンジェラ〈Angela〉→天使など)、職業や資格、屋号、生年月日が入ったものなどは実印登録できないので気をつけましょう。

英語名の法人を登記する場合は、英字(大文字と小文字)の他、アラビヤ数字を登記に用いることができます。法人用実印を登録するときも、登記上の法人名が入った印鑑で登録可能です。知識として覚えておきましょう。