印鑑を長く使用していると、かすれてしまって綺麗に押せなくなることってありませんか?
その多くの原因は印面の汚れです。朱肉を印面につける度、どんどん表面に汚れが溜まり、鮮明な印影を得ることが難しくなります。そのため、印鑑を使い終えたら掃除をするのが基本。でも「どのように掃除をすればいいか分からない」という方もいるはずです。
そこでこの記事は、印鑑の掃除やお手入れの方法について詳しく紹介します。
印鑑の基本的な掃除の仕方
まず、印面の汚れがないかを確認します。
印面彫刻には、字の部分を凸状に残して周囲を彫る朱文(しゅぶん)と、字の部分を凹に彫る白文(はくぶん)の2種類があります。一般的に印鑑は朱文の彫刻が多く、凹の部分に朱肉が溜まりやすくなります。朱肉の油を吸いすぎると、印鑑に負担がかかり劣化の原因になるので、早めに拭き取るようにしましょう。
汚れを拭き取るには、柔らかいガーゼなどを使います。まだ日が浅いうちに付いた汚れなら、簡単に拭き取ることができます。
汚れた朱肉を放置したままにしておくと乾燥して取れにくくなります。特に、印面の狭い窪みに朱肉が入り込むとガーゼでは掃除しきれず、こびりついてしまうことがよくあります。
その場合は、専用ブラシを使いましょう。専用ブラシは花を活ける剣山のような形をしていて、ブラシに印面を当ててこすります。こびりついた朱肉やホコリ、紙粉も取り除けます。印鑑の他、ゴム印の掃除にも役立ちます。毛先の柔らかい歯ブラシで代用することもできますが、しっかり汚れを落としたいなら専用ブラシを使う方が効果的です。
ちなみにつまようじや針など、先が固くて尖ったもので掃除すると、印面が傷ついてしまうことがあるので注意しましょう。
また、輪ゴムを使った掃除方法もおすすめです。紙の上に複数の輪ゴムを並べて置いてから、上から印面で輪ゴムを押し付けるように転がします。すると輪ゴムに汚れが付着して、印面が綺麗に掃除できます。輪ゴムは弾力があるので印面を傷つける心配はありません。もし輪ゴムをお持ちなら、ぜひ試してみてください。
他にも掃除方法として、
・消しゴムの「練り消し」を柔らかく練ってから印面の汚れに押し付ける方法
……などがあります。練り消しには、印鑑掃除用タイプも販売されています。こうしたアイテムを使えば、より効果的に汚れが取れるでしょう。
注意したいのが水洗いです。チタンなど一部の印材は大きな影響を受けませんが、多くの印材の場合、水洗いによって劣化などの影響を受けることがあります。また、印面保護の役目として塗っている朱墨や墨が剥がれてしまう恐れもあるので、水洗いは避けるようにしましょう。
素材によって違う印鑑の保管方法
印鑑の掃除やお手入れはもちろんですが、印鑑を出しっぱなしにせずに保管することも大切です。どれだけ高級品を買っても、保存状態が悪いとひび割れてしまうことがあるからです。しかし保管しておけば、いざ印鑑を使う時も「鮮明に押せない」「ひび割れていた」というトラブルを未然に防ぐことができます。
保管の際に気を付けたいのが印鑑の素材です。
印鑑にはアクリル樹脂製や金属製の他、黒水牛、薩摩本柘(さつまほんつげ)などの動物系、植物系の天然素材があります。
こうした動物系、植物系の天然素材の印鑑は環境変化によって反りやひずみ、割れなどを起こすこともあります。裸のままに放置しておくと寿命を縮めかねません。
保管の際は、印鑑ケースに入れるのが基本。これだけでも印鑑の劣化を防ぐことができます。
加えて、温度差の激しいところや極端な湿気、乾燥、直射日光のあるところを避けるようにしましょう。特に天然素材の黒水牛、薩摩本柘などは温度の変化によって、ひび割れする危険性があります。
また、黒水牛などの角の素材は虫に食われることもあるので、なるべく低温でホコリの少ない場所に防虫剤を入れて保管しておきます。
さらに、乾燥による印鑑の縮みを防ぐため、年に1度、椿油やオリーブオイルといった植物性の油を柔らかい布に染み込ませて、油分補給するのも効果的です。印面だけでなく印鑑の表面に塗ってお手入れします。ただし薩摩本柘には塗らないようにしましょう。
印鑑は掃除やお手入れで長持ちします
ここまで、印鑑の掃除やお手入れの方法について紹介しました。
印鑑を劣化させるのは印面に付着したままの朱肉です。印鑑を使い終えたら、朱肉の油を吸う前にしっかり拭き取りましょう。掃除グッズはガーゼや専用ブラシなど。輪ゴムの上に印面を転がしながら押し付けて汚れを取る方法もあります。
また、保管も印鑑を長持ちさせるのに効果的です。必ず印鑑ケースに入れておき、温度差の激しいところや湿気、乾燥、直射日光のあるところを避けて保管するようにしましょう。