
ビジネス上のやりとりで頻繁に交わされる書類のひとつに、注文書(発注書)があります。
商品やサービスを注文する際、取引先にその意思を伝えるために発行する書類で、商品の数や金額、納期などの取引内容を書面に記載します。
ところで、注文書でのやりとりに印鑑は必要なのでしょうか?
署名して印鑑を押すのが一般的とされていますが、中には「印鑑を押していない注文書を見たことがある」…という人もいるでしょう。
実は、法律で「注文書には押印が必要」と定められているわけではありません。にもかかわらず、なぜ注文書に印鑑を押すのでしょうか?
この記事は、注文書(発注書)に印鑑を押す理由について紹介しています。また、押印の際に気を付けるポイントや、注文書に押す印鑑の選び方についてもまとめましたのでご覧ください。
注文書(発注書)は印鑑不要でも効力あり。それでも押印する理由とは
注文書を作る際、一般的に記載が必要とされる項目は次のとおりです。
・発注者の名称または氏名
・受注者の名称または氏名
・取引年月日
・取引内容
・取引金額
※記載が必要な項目は、業種などによって異なります。
冒頭で述べたとおり、注文書において印鑑を押すことは必須ではありません。
注文書に押印がなくても、当事者の合意が成立していれば契約を交わすことができます。
そもそも注文書とは、「商品やサービスを発注したい」旨を取引先に一方的に伝える文書であり、契約に基づく権利義務を確定させる文書ではありません。そのため、意思決定を示す押印は手続き上、必要ではないのです。
それでも、「注文書=印を押す」という考え方が一般的です。実際、ビジネスの世界では、当事者が注文書に印鑑を押すことが通例となっています。
押印する理由について、以下の3つが挙げられます。
1、「同意した」という証拠を残すことで、トラブルを未然に防ぐことができる
例えば、ウサギ社のある従業員が押印せずに勝手に注文書を発行し、取引先のカメ社に送付したとします。
後日、ウサギ社の従業員が退職し、カメ社から商品と請求書が送られてきたらどうなるでしょうか。
ウサギ社は「注文した覚えはない」、カメ社は「注文があった」と意見が食い違い、トラブルに発展する恐れがあります。
しかし、もしウサギ社が注文書に印鑑を押していれば、たとえ退職した従業員が勝手に送付したとしても、
「ウサギ社が誤って注文した」ことの立証となるため、トラブルのリスクを抑えることができます。
このように、押印で「同意した」という証拠を残すことで、注文の意思の確認や責任の所在を明らかにすることができます。
2、社内の発注プロセス権限を管理できる
従業員の誰でも注文書が発行できる体制にするのではなく、責任者が最終工程でチェックし発注するというプロセスにすることで、発注ミスや不正を防ぐことができます。
そのためにも、責任者が印鑑を管理して使うことが大切です。具体的には責任者が注文書を最終チェックし、その上で押印するという運用方法です。

こうすることで担当者の独断で発注したのではなく、適切なプロセスを経て取引先に依頼したものである、と判断できます。
このように印鑑は、書類に記載された内容を会社が確認したことを示すツールとして効果があります。
3、ビジネスマナー上、取引先に対して信頼を示すことができる
日本におけるビジネスの現場では、注文書への押印がビジネスマナーとして成り立っています。
押印することで、取引先に信頼できる会社であることをアピールできます。特に、取引実績がなく新規で取引を始める場合、取引先との信頼構築が重要になってきます。取引相手に不信感を与えないという意味でも、押印の役割は大きいと言えるでしょう。
注文書(発注書)に印鑑を押す場所には決まりがある
注文書は正式に依頼が決まったタイミングで、発注者が受注者に対して発行します。
一般的には会社の角印や職務担当者の認印を押しますが、一体どこに押印すればいいのでしょうか。
正式な決まりはありませんが、次の箇所への押印がふさわしいとされています。
・担当者印の場合…自身の名前の右横に押す
・会社の角印の場合…会社名や住所の右横に印鑑を押す
「注文書の内容を会社や担当者が確認した」ことを示す押印のため、できるだけ記載した社名や担当者名の近くに押すようにしましょう。偽造防止のために、会社名や住所、担当者名の最後の文字に印影が一部重なるように押すのがポイントです。
ただし、市販の注文書用紙や、ダウンロード型の注文書テンプレートの中には、あらかじめ押印を示すマークや押印欄が設けられていることがあります。
そういった注文書を使用する場合は、指定された箇所に押印するのがベターです。
また、下記条件に合致する場合、契約金額に応じて定められた収入印紙を貼る必要があります。
【注文書に収入印紙を貼る条件】
・基本契約書に「注文書の発行により契約が成立する」と記載がある
・注文書に「注文書で契約が成立する」と記載がある
この場合、印紙に半分程度重ねるように消印を押します。
印紙と契約書にまたがって印鑑を押すことで、収入印紙の使い回しを防ぎます。
これは印紙税法第8条第2項で定められています。ちなみに印鑑の種類に決まりはなく、担当者の認印でも代用できます。
注文書(発注書)に使う印鑑は角印のみ?サイズ別に紹介

注文書に印鑑を押す場合、どのタイプの印鑑を使えばいいのでしょうか。
会社名や屋号、住所の横には「角印」を、担当者名の横には「認印」を押します。
「角印」は、見た目が大きく立派なので会社を代表する印鑑に見えますが、実は会社の認印にあたります。
角印の印面には、「○○株式会社之印」や「合同会社◎◎◎印」など、法人名や屋号が入ります。この末尾の「之印」や「印」は、印鑑であることを示すために昔から使われているものです。
ビジネス用途の印鑑として使用頻度が高く、注文書の他にもさまざまなビジネス文書に使用します。
サイズの決まりはありませんが、一辺が18㎜、21mm、24mm辺りの正方形のものが主流となっています。文字のレイアウトは縦書きが一般的ですが、カタカナや英字の法人名などは横書きにすると見栄えがいいです。
「認印」は、個人事業主やフリーランスが丸印として使用するものと、会社の担当者が個人用に持つものとに分かれます。
前者は、印面の内側の中心に「代表之印」などの役職名を、外側に屋号やショップ名を入れます。サイズはいくつか種類がありますが、直径16.5mm、18mm辺りのものが一般的です。
後者は個人が使用するタイプの認印で、印面に名字などが入ったものです。社内回覧の確認用や書類などに使用できます。サイズは直径10.5mm、12mm、辺りのものが一般的です。
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また、発注者が注文書を送るとき、封筒を利用することが多いでしょう。
その際、封筒の表面に「注文書在中」の文字を入れますが、手書きよりもスタンプで押した方が効率的です。
印鑑の匠ドットコムが運営する「シャチハタ・サンビーの匠」では、注文書在中のスタンプを取り扱っています。こちらはスタンプ台不要で押せる縦書きタイプです。
注文書(発注書)には忘れずに印鑑を押そう
ここまで、注文書(発注書)に印鑑を押す理由について紹介しました。
法律上、注文書への押印は必須ではありませんが、当事者間のトラブルを未然に防ぐためにも押印は欠かせない手段と言えます。また、押印を社内ルールに加えることで「適切なプロセスを経て取引先に注文した」という管理がしやすくなります。

注文書に用いる印鑑は、社名入りの角印や認印(個人事業主用もしくは担当者用)が一般的です。
社名や住所、担当者名の横に押すようにしましょう。
また、注文書に収入印紙を貼る際は、消印を押すことをお忘れなく。
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