
会社を設立するとき、必要になるのが「代表者印」。これは会社用の実印で、円形の形をしたものが一般的です。円形内側の中心部分には縦書きで「代表取締役印」などの役職名が、外側には法人名が外周に沿って入ります。
代表者印はハンコ屋さんで作ることができます。しかし持っているだけでは効力を発揮しません。新たに印鑑登録をする必要があります。
「でも、どうやって印鑑登録をすればいいの?」
「手続きの仕方が分からない」
…という人は多いはず。そこでこの記事は、法人・会社が印鑑登録する流れについて解説します。また、印鑑登録ができれば印鑑(登録)証明書の取得も可能です。記事では印鑑証明書の発行の仕方についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
法人、会社の印鑑登録は登記と一緒に済ませるのがおすすめ
法人・会社の印鑑登録には、法務局で「印鑑届出書」の提出が必要です。法務局は全国にありますが、この場合、本店の所在地にある法務局で手続きをします。
法務局で手続きをする際は、
・印鑑届出書
・印鑑カード交付申請書
・代表者本人の印鑑証明書
・代表者印(会社の実印)
・代表者本人の個人用実印
を用意しておくと、よりスムーズに手続きができますよ。
また、法人登記申請と同じタイミングで手続きをおこなえば、法務局に足を運ぶ回数を省略できます。
印鑑届出書は代理人でも提出できる
法人・会社の印鑑登録~印鑑証明書を取得するまでのステップは、大まかに次のとおりです。
1、印鑑届出書を提出
2、印鑑カードを交付申請
3、印鑑証明書を発行
順番に解説します。

まず「1、印鑑届出書を提出」。
印鑑届出書の様式は、法務局のホームページからダウンロードできます。
印鑑届出書に記入する内容は、
・印鑑提出者(代表者)の氏名や生年月日
・商号とその住所
・提出する代表者印の印鑑(押印したもの)
など。提出の際は、提出者本人の印鑑証明書(個人用、3ヶ月以内のもの)が必要です。つまり、個人としての印鑑(実印)登録が必要ということです。事前に実印の印鑑登録を済ませておけば、その後の法人設立がスムーズにおこなえます。
個人用の印鑑証明書はマイナンバーカードを利用すればコンビニでも取得できます。忘れないよう、早めに手に入れておくといいでしょう。印鑑届出書は、本人の他、代理人でも提出できます。それぞれ、印鑑届出書に記入する内容が変わるので注意が必要です。
〈本人が提出する場合〉
・書類の「印鑑提出者本人」の項目にチェックを入れて、本人の住所と氏名を記入
・代表者個人の実印を押す(市区町村に印鑑登録済みのもの)
〈代理人が提出する場合〉
・書類の「代理人」の項目にチェックを入れて、代理人の住所と氏名を記入(押印は不要)
・委任状欄に本人の住所、氏名、日付を記入し、代表者個人の実印を押す(市区町村に印鑑登録済みのもの)
※委任状欄には代表者本人による記入が必要。
このように、代理人が提出する場合でも、代表者本人の押印や印鑑証明書は必要となるので、忘れずに準備しておくことが大切です。
法人、会社が印鑑カードを発行する流れ
次に「2、印鑑カードを交付申請」について紹介します。
印鑑届出書を提出して法人の印鑑登録が完了すると、印鑑カード交付の手続きをおこないます。これは「印鑑カード交付申請書」を法務局に提出することで、無料で交付が受けられます。
印鑑カード交付申請書の用紙は法務局の窓口でももらえますが、法務局のホームページからダウンロードする方が便利です。あらかじめ記入した申請書を用意しておけば、法人登記申請、印鑑登録とあわせてその場で手続きできます。

申請書に記入する内容は、商号や印鑑提出者の氏名、生年月日、登記所に提出(印鑑登録)した代表者印の印鑑など。印鑑届出書の記載内容と似ています。
また本人の他、代理人が提出することもできます。代理人が提出する場合は、申請書内の「委任状」に代表者本人が必要事項を記入します。
交付申請書を提出したら、その場で印鑑カードが発行され、受け取ることができます。もし窓口で申請書を提出できないときは、郵送でも受理されます。封筒に申請書と返信用封筒(切手貼付)を同封し、本店の所在地にある法務局まで送りましょう。
法人にとって印鑑カードは印鑑証明書が取得できる重要なものです。そのため申請書を送る際は、書留にするか配送状況が追跡できるものにしておくと安心です。
法人、会社が印鑑証明書を取得する方法は3つ
印鑑カードを受け取ったら、「3、印鑑証明書を発行」ができます。印鑑証明書を取得する方法は、「法務局の窓口」「郵送」「オンライン」の3つです。
それぞれの手続きの流れは下記のとおりです。
〈法務局の窓口で取得する〉
管轄外の法務局でも取得できます。印鑑証明書が必要になった場合、最寄りの法務局で申請し取得が可能です。申請の流れは以下のとおりです。
1、備え付けの「印鑑証明書交付申請書」に必要事項を記入する
2、窓口で手数料分の収入印紙を購入する
3、申請書に収入印紙と印鑑カードを添えて提出する
手数料は1通450円です。
また、証明書発行請求機でも手続きが可能です(設置されていない法務局もあり)。この場合、印鑑登録証明書交付申請書の作成は要りません。請求機で必要事項を入力し受付を済ませた後、窓口で収入印紙の手数料を支払えば印鑑証明書が交付されます。
〈郵送で取得する〉
郵送の場合、必要事項を記入した印鑑証明書交付申請書と印鑑カード、返信用切手を貼った封筒を同封し、管轄の法務局宛てに送ります。重要書類のため、簡易書留などで送るのがベター。郵送は日数がかかるので、急ぎで必要の場合は窓口で申し込むのがおすすめです。
手数料は1通450円です。印鑑証明書交付申請書の書式はこちらからダウンロードできます。
〈オンライン申請して取得する〉
法務局に出向くことなく、オンライン上でも受付ができます。手続きの流れは、
1、あらかじめ「申請用総合ソフト」をパソコンにインストール
2、オンライン申請のための申請書を作成し、送信する
3、手数料などの電子納付をおこなう
ただしオンラインで受付を済ませても、印鑑証明書が電子データとして発行されることはありません。申請後は、郵送または窓口で交付される流れになります。手数料は、オンライン申請後→郵送で取得する場合は1通410円。申請後→窓口で交付する場合は1通390円です。
以上のように印鑑証明書は、オンライン申請+窓口交付(390円)の方法がもっとも安く発行できます。窓口や郵送と比べると60円ほどの差額ですが、複数枚を発行すると金額は大きく変わってきます。
ところで、法人の印鑑証明書は個人と違ってコンビニでは発行できないので気をつけましょう。
法人、会社の印鑑登録は全国の法務局で
ここまで、法人・会社が印鑑登録する流れと、印鑑証明書を取得する方法について解説しました。
印鑑登録は、本店の所在地にある法務局でおこないます。そのときに必要なのが、印鑑届出書です。事前にダウンロードした印鑑届出書に必要事項を書き込んでおけば、スムーズに手続きができます。
提出資料として、代表者個人の印鑑証明書も必要なので、事前に個人の印鑑登録を済ませておきましょう。

その後、印鑑カード交付の手続きをおこないカードを発行することで、法人の印鑑証明書が取得できるようになります。
印鑑証明書を取得する方法として、「法務局の窓口」「郵送」「オンライン」の3通りがあります。発行手数料がもっとも安いのは、オンライン申請後→窓口で交付する場合で、1通390円です。安く済ませたい方は、この方法で印鑑証明書を手に入れましょう。


