
新生活のスタートに合わせて「車を買おう」と思っている方は多いでしょう。
車を購入するとき多くの手続きが要りますが、その手続きには実印(印鑑)が必要とされています。
しかしその一方で、「実印はいらない」というネットの書き込みも。いったいどちらが正解なのでしょうか?
そこでこの記事は、車の購入時に実印や印鑑証明は必要かどうかについて紹介します。
車の種類によって実印が必要か不要か決まる
車に関する手続きに実印は必要なのでしょうか、それとも不要なのでしょうか。これは対象の車が「普通自動車(普通車)」か「軽自動車」かによって実印の要不要が決まります。順番に見ていきましょう。
まず「普通車」は新車・中古車にかかわらず、不動産と同様に資産として扱われます。国の機関である陸運支局で1台1台登録するよう法律で定められていますが、それは資産価値のある普通車を「どこの誰が所有しているのか」を明確にするためです。
そこで普通車を「移転登録」する際、契約書に押す本人の実印と「本人が同意した」ことを証明するための印鑑登録証明書(印鑑証明書)が必要となります。例えば親の車を譲り受けたり、新車を購入したりした場合など。これらには移転登録が義務付けられ、実印や印鑑証明書が必要です。
その他、自動車検査証(車検証)、自賠責保険証、車庫証明書などの書類も手続きの際に求められます。
ちなみに普通車を売却する場合も、名義変更の手続きをするため実印や印鑑証明書などが要ります。
一方、「軽自動車」は資産に含まれません。
登録は陸運支局ではなく、特別民間法人の軽自動車検査協会が窓口となります。国に代わって検査協会が車検証やナンバープレートを交付します。こうした違いから、軽自動車の手続きは移転登録ではなく「名義変更」となり、実印や印鑑証明書が要りません。
また、軽自動車の手続きの場合、以前は名義人の認印が必要でしたが、2021年1月から申請手続等にかかる押印・署名が廃止となり、原則不要となりました。
※本人確認書類として住民票の提出や、運転免許証のコピーが必要です。
ただし、軽自動車の購入時に普通車を下取りに出す場合、実印と印鑑証明書が求められます。これは普通車の手続きに必要だからです。
このように、普通車・軽自動車も実印や印鑑証明書が必要な場合がありますので、気を付けましょう。
また、実印が必要でなくても、販売店によっては認印の押印を求められることもあります。
車のローンで実印や銀行印が必要になることも
普通車を購入するときは、実印や印鑑証明書が必要になると紹介しました。
ただし、現金ではなく「ディーラーローン」で車を購入する場合、実印や印鑑証明書は不要です。「ディーラーローン」とは、カーディーラーと信販会社が提携しているローンで、主に新車が対象になります。カーディーラーで車を購入するときに一緒に契約でき、ローンは信販会社に返済する仕組みです。

「ディーラーローン」は、ローンを完済するまで車の名義がディーラーになります。つまり自動車を買っても、書類上の名義は所有者ではなくディーラーということ。そのため手続き上で所有者本人の実印や印鑑証明書が要らないのです。ただしこの場合、銀行印が必要なので忘れないようにしましょう。
なお、車のローンには、銀行やJA、信用金庫などの金融機関から借り入れできる「マイカーローン」もあります。こちらは基本的に本人が車の名義人となるため、実印や印鑑証明書が必要です。
車の購入に使う実印のサイズは?
車の購入時に実印が必要な場合、印鑑証明書とセットで用意します。
実印を登録していない場合は、実印用の印鑑を用意し、住民票のある役所の窓口に印鑑を届け出る必要があります。これを「印鑑登録」と呼び、完了したら印鑑登録証(カード)が発行されます。このカードを使って印鑑証明書を取得します。
車の購入を検討している方は、あらかじめ印鑑登録を済ませておきましょう。
印鑑登録に必要な実印は、長さが60mmで印面(名前が彫ってある部分)は直径15〜16.5mmのサイズが一般的です。小さな13.5mmサイズを選んでも構いませんが、他の印鑑(認印・銀行印)と見分けがつきやすいよう、一回り大きいサイズのものがおすすめです。
実印のサイズは各自治体の印鑑条例によって規定されています。
多くの市町村が「一辺の長さ(印面)が8mmの正方形に収まらず、25mmの正方形からはみ出さないもの」としています。中には「6mm~25mm」「7mm~25mm」など、小さい印影を登録できる自治体もあります。実印を作る前に、お住まいの自治体に確認しましょう。
専門店「印鑑の匠ドットコム」では、実印用に最適な印鑑を取りそろえています。
種類も豊富ですので、ぜひお気に入りの一本を探してみてください。
車の購入時に提出する印鑑証明書は何枚必要?
印鑑登録を済ませたら、印鑑証明書も取得しましょう。取得の仕方は主に次の4つです。

・役所の窓口で申請する。
・役所のオンラインサービスで申請する。
・市民サービスセンターで申請する。
・コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに備え付けられた発行機から取得する。
役所の窓口で申請する場合、取得までのおおまかな流れは次のとおりです。
※自治体によって交付の方法は異なります。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
1、役所に設置された申請書に必要事項を記入する
2、お手持ちの印鑑登録証(カード)と申請書を、窓口に提出する(登録した実印は必要ない)
取得にかかる手数料は役所によって異なりますが、1通300円~350円が一般的です。
なお、本人から委任された代理人の方も請求できます。代理人も申請書への記入が必要なので、証明書の対象となる方の住所・氏名・生年月日を事前に確認しましょう。
また役所以外に、コンビニで印鑑証明書を取得する方法もあります。
これは、市区町村の発行する証明書(印鑑証明書や住民票の写しなど)がコンビニのマルチコピー機(キオスク端末)から取得できるサービスです。マイナンバーカード(または住民基本台帳カード)、またはスマホ用電子証明書が搭載されたスマートフォンを利用します。
「急ぎで印鑑証明書が欲しい」という場合はコンビニでの交付が便利です。役所のように申請書に記入する手間がなく、土日祝日も利用できます。
また、コンビニ交付サービスに対応しているほとんどの自治体が手数料を引き下げているので、お得に印鑑証明書を取得できます。
気を付けたいのが車の登録で提出する場合、有効期限があるということ。「発行日から3ヶ月以内の印鑑証明書」が対象です。早めに用意しておくと「手続き時には期限が切れていた」という失敗も…。車の購入が正式に決まってから印鑑証明書を取得すれば、そういったリスクも回避できます。
また、印鑑証明書の必要な枚数は、購入方法によって異なります。
①下取りなしで、一括払いで購入…1通
②下取りなしで、分割(ローン)払いで購入…信託会社によって異なる
③下取りありで、一括払いで購入…3通
④下取りありで、分割(ローン)払いで購入…2通
③は、購入車の新規登録用・下取り車の名義変更用・下取り車の自動車税の還付請求権の譲渡用として、3通の印鑑証明書が必要です。④は、下取り車の名義変更用・下取り車の自動車税の還付請求権の譲渡用として、2通が必要となります。
②は、「ディーラーローン」か「マイカーローン」によって、印鑑証明書の要不要が異なります。「ディーラーローン」を組んで購入する場合、車の所有者は購入者ではなくカーディーラーや信託会社となるため、印鑑証明書は要りません。
なお、売却や廃車にするときも印鑑証明書が必要です。もしもに備えて複数枚用意しておくと安心です。
車の種類や購入条件で実印や印鑑証明書が必要になる
ここまで、車の購入時に実印や印鑑証明は必要かどうかについて紹介しました。
普通自動車を現金で購入する場合、国に登録するため実印と印鑑証明書が必要です。ローンで買う場合は、組むローンのタイプによって実印と印鑑証明書の要不要が変わります。

軽自動車は、国ではなく軽自動車検査協会に登録をおこないます。そのため、原則実印と印鑑証明書は不要です。ただし、軽自動車の購入時に普通車を下取りに出す場合、実印と印鑑証明書が必要です。
条件によって、実印が要るケースと要らないケースがあるので、車を購入するときは事前に販売店などに確認しましょう。
また、実印はハンコを買っただけでは効力がありません。印鑑登録を済ませることで、初めて本人の分身の印として使うことができます。印鑑登録をおこなわないと印鑑証明書も取得できないので、忘れずに手続きを済ませましょう。
専門店「印鑑の匠ドットコム」では、実印用に最適な印鑑を取りそろえています。
種類も豊富ですので、ぜひお気に入りの一本を探してみてください。


